コイノニアについて
千葉県東金市で住宅型有料老人ホーム「コイノニア」を運営しています、今西航地です。私たちの介護事業は、医療の下請けではなく、「生活の場」をつくることを目的にしています。家族のように相手を想いながら暮らす——そんな関係性を大切にしたいという思いで、日々の運営に取り組んでいます。
実は、大学卒業後の介護経験は半年ほどしかありません。それでも事業を立ち上げたのは、自分のやりたいことに早くたどり着きたかったからです。6人兄弟の末っ子として、母が営んでいた介護施設を継承する形でスタートしました。兄弟たちが役員として関わっていたこともあり、自分の理想を形にするには早く動く必要があると感じていました。
私の最終的な目標は「里親をやること」です。けれど、子どもを受け入れるには責任が伴います。経済的な基盤がなければ、無責任な支援になってしまう。日本は、子どもに十分なお金が回る仕組みが整っているとは言えません。だからこそ、まずは経済ベースをつくる必要がありました。
そこで、母が築いてきた介護事業を継承し、高齢者と共に暮らす場をつくることで、経済的な土台を整えることから始めました。やっていくうちに気づいたのは、そこにも愛情の循環が生まれるということ。高齢者の生活と子どもたちの生活が交わることで、経済的にも、そして心の面でも互いを補完し合える場がつくれるのではないか——そんな可能性を感じています。
まだまだ道半ばですが、一歩ずつ前に進んでいます。コイノニアが、世代を超えて人と人が支え合える場所になれるよう、これからも心を込めて取り組んでいきます。
僕がひとりで始めた頃から、コイノニアはずっと「関係性」を大切にしてきました。スタッフに支えられ、学ばせてもらいながら、少しずつ形になってきたのが今の姿です。利用者さんは約25人、スタッフも15人ほどになりましたが、規模が大きくなっても、心を通わせる関係性は変わっていません。
僕らはマニュアルや専門性にこだわるよりも、人と人とのつながりに集中してきました。スタッフ同士も、利用者さんとの関係も、深くて温かい。年齢を重ねることも、介護の現場で起きることも、僕自身も含めてみんなで学びながら進んでいます。
売上目標を立てて会社を大きくすることは、17年間一度も考えたことがありません。必要があれば訪問だけでは足りないから通所サービスを始める、スタッフが増えるから施設を建てる——そんな「必然」に応じて動いてきただけです。
介護のやりがいは、見取りまで関わることで見えてくるものもあります。点数では測れない仕事がたくさんあるけれど、それを同じ秤にかける必要はないと思っています。
スタッフが困ったときに寄り添える関係性を社内に築けていること、それが僕にとっての誇りです。給料が高い会社ではないかもしれないけど、みんなが安心して暮らせる、共に歩める場所をつくっていきたい。介護は人間関係を育む仕事。その価値を、これからも大切にしていきます。
シンプルに言えば、「幸せになっちゃえばいいんだよ」っていうのが、僕の根っこにある思いです。人はそれぞれ違う背景を持っていて、こだわりや価値観に縛られて苦しんでいる人も多い。でも、もっと自由でいいと思うんです。誰かを傷つけない限り、自分の心に素直に生きていい。それが僕の考える介護のあり方です。
他の施設では、マニュアルに沿って「問題がある人」と見られてしまうこともあるけど、僕はそうじゃなくて、もっと自由に生きていいって思っています。互いを認め合い、尊重し合う関係性を築くことで、人は自然と元気になっていく。実際、コイノニアに来ただけで表情が明るくなる人も多いんです。
僕らが管理しようとすると、息苦しさや怒りが生まれてしまう。でも、人格を尊重し合えば、お金があるかどうか、過去に何をしてきたかなんて関係ない。生活保護というセーフティネットもあるし、うちでは半分くらいの方がそれを利用しています。
みんな、人生の最後を迎えることに不安を抱えていると思う。その不安を和らげるには、家族のような安心できる関係性が必要です。子どもが何度怒られても、次の日には何事もなかったようにリセットされる——そんな関係性があるからこそ、人は安心できるし、信じられる。
17年間、何度も最期の場面に立ち会ってきて、本当に大切なのはそこだと感じています。だからこそ、重たいものを背負いすぎず、最後くらいは自由に、人生を振り返りながら楽しんで生きてほしい。介護施設は、そんな場であるべきだと僕は思っています。
